着任のごあいさつ








      

         富山いずみ高等学校 校 長  麦 谷 理 香
                   
 
 
 本年四月に百二十年を越える歴史と伝統ある富山いずみ高校に校長として着任いたしました麦谷です。同窓会員の皆様方には、日頃より本校の教育活動の推進に格別のご理解とご支援を賜り、心から感謝申し上げます。

 本校は街中にあるにもかかわらず、一歩校内に足を踏み入れると、中庭には清らかな水が湧き出る池や緑まぶしい樹木が目に映り、落ち着いた雰囲気で学べる環境のよさを感じています。

 さる四月八日の入学式では、橋本同窓会長、福田副会長にご臨席いただき、総合学科・看護科百九十名および専攻科三十八名の新入生を迎え入れることができました。そこで合唱部が披露した校歌は、やさしい旋律ながら泉のようにわきでる生きる歓びや希望、学び舎を共にした者の絆を強く感じさせてくれました。
 また、校歌で歌われている校訓「誠実・勤勉・聡明」の精神は、富山高等女学校、富山女子高校の時代から脈々と受け継がれており、生徒たちにはその精神を先輩の皆様のように実践し、成長してくれることを願っております。

  さて、本校では「豊かな知性と情操を育み、自主自立の精神に富む、未来を切り拓くたくましい人間を育成する」という教育目標を掲げています。そして、育成を目指す資質・能力、教育課程、入学者の受け入れの三点からなるスクール・ポリシーを策定し公表しています。さらに、育成を目指す資質・能力に関する方針(グラデュエーションポリシー)の中に、卒業までに身につけてもらいたい六つの力(傾聴力、想像力、思考力、発信力、協働力、実行力)、を「いずみグラデュエーションポリシー:IGP」として生徒に提示し、学期ごとに自己評価をしてもらっています。このような取組により、総合学科の生徒は、多彩な学びの中でIGPの六つの力を意識し、「多様な考え、情報を受け入れ、自ら課題を見つけて解決していく力」を高めています。
  看護科、専攻科看護科の生徒は、専門科目の座学に加え校内実習、臨地実習を通して、科学する知性・豊かな感性・心通う実践力とともに、IGPの傾聴力・想像力・協働力を備えた地域に貢献できる看護職者を目指して日々努力を続けています。

  現代は新型コロナウイルスといった感染症などの疫病や地震、台風などの自然災害、AI技術の急激な進化などにより世の中の変化を予測しにくくなっています。そのため、これまでの経験や価値観、常識が通用しない時代といわれています。知識・技能の習得を学びのゴールとするのではなく、状況や課題に応じてそれらを活用し、また、他者とコミュニケーションをとりながら協働的に問題解決にあたる資質や能力が社会を構成する私たち一人一人に必要とされているといえます。本校では、そうした厳しい社会を生き抜くための力を育む学びがあると信じています。

  結びに、同窓会の皆様方におかれましては、今後も本校教育活動への変わらぬご理解とご支援をお願い申し上げますとともに、清泉同窓会のますますのご発展と皆様のご健勝とご多幸を心から祈念申しあげ、着任のご挨拶とさせていただきます。


 
   

                令和7年8月11日発行 清泉同窓会便り 第66号 より